ダークナイト
![]() | ダークナイト 特別版 (2008/12/10) クリスチャン・ベールマイケル・ケイン 商品詳細を見る |
ついに観てきてしまいました。「ダークナイト」でございます。もちろん言わずと知れた「バットマン ビギンズ」の続編で、アメリカで公開して観客動員の新記録を打ち立てたとか何とか言う話が伝わってきたアレでございます。私も予告編は観たもののそれ以外の予備知識は一切入れずに本日劇場へ行ってきたわけですが、まだ観ていない方はここで読むのを止めて下さい。全くネタバレ無しで観てもらいたいのと、私は今回大絶賛しますので、それによって期待しすぎて、「それほどでも無かったじゃん」ということが無いように、です。
今回の敵はヒース・レジャー扮するジョーカーです。本当に惜しい人を亡くしました。改めてご冥福をお祈りします。そのジョーカー一味が銀行強盗を働くオープニングがなかなか面白いです。手下など使い捨てで、手下同士も互いに信頼関係など無く、悪のルールというものすら持っていません。全く無秩序な集団です。そんな連中の犯罪がテンポよく描かれて一気に映画の中に引き込まれます。今回この「ルール」というものが一つのカギとなってきます。
その銀行強盗を発端とし、マフィアたちの資金を隠した銀行が警察にばれ、検事のハービー・デントがマフィアたちを告発しようとし、いろいろなことが起こっていくうちに、元はと言えばバットマンが悪いという結論に達し、ジョーカーがバットマン殺しを請け負います。
このジョーカーというキャラクターが実に不気味です。ティム・バートン版の「バットマン」ではジャック・ニコルソンがマンガっぽく演じていましたが、今回はもっとリアルです。このくらいの傷がある人や、メイクをしている人は現実にいそうです。しかし見た目が現実的でありながら、その言動はあり得ないようなイカれたキャラクターになっています。ただキレた演技をしているだけではありません。うまく説明できないのですが、一人だけ別世界の人間のようです。この映画に出てくるキャラクターの中で一人だけ行動原理が分かりません。もちろんそれが狙いなのですが、もう言葉とか論理が通じないので、憎むことさえ出来ない感じです。
しかし複雑なストーリーを実に見事に語る映画です。今あらすじを説明しようとして、めちゃめちゃ長くなりそうなので焦りました。本当はもっと盛りだくさんなのです。クリストファー・ノーラン監督はいつも手堅い演出に定評がある人ですが、今回も絶妙な編集で無駄な説明をギリギリまで省き、かと言って観客にはちゃんと筋が追えるようにシーンごとに細かな配慮がなされています。
またジャンル的にはヒーローものの映画であるにも関わらず、今回はそういったケレン味のある演出というものを徹底的に排除しています。普通だったらバットマンが登場する所は、音楽やもったいつけたカット割りで盛り上げたりするものですが、そんなのは一切ありません。普通に立っています。もちろんバットマンは闇に生きるヒーローですから、神出鬼没が売りなのですが、では逆にその謎めいたところを強調するかというとそうでもなく、カットが変わったら普通にいなくなっている、という感じです。本当に普通の人間がただ変わった格好をしているというだけなのです。原作からのファンの方はこの身も蓋もない描写をどう受け止めているか、興味深いところです。
本当にメインの筋だけを追って行きますが、ジョーカーはバットマンにマスクを取って正体を現すことを迫ります。さもなくば人を殺し続けると脅迫するのです。バットマンは悩んだ末、要求を飲むことを決意するのですが、ハービー・デントは「バットマンはこの町に必要だ」と考え、自分がバットマンだと記者会見で発表して、ジョーカーに狙われてしまいます。
デントの乗った護送車を追うカーチェイスは中盤の大きな見せ場です。ここでも盛り上げるためのノリノリの音楽などかからないところがいいです。そしてバットモービルに乗ったバットマンが登場。しかしバットモービルはジョーカーの撃ったバズーカ砲で吹っ飛んでしまいます。ここで私は「ああ、やられてしまった。また仕切り直しだな」とガックリしてしまいました。完全に動かなくなり緊急脱出装置が作動します。そこの演出で妙に時間をかけるなと思ったら、なんとバットモービルからバイクが飛び出してきて、それに乗ったバットマンが再びジョーカーたちを追い始めるのです。このくだりはもう興奮のあまり身震いしてしまいました。もし予告であのバイクのような乗り物を観ていなかったら失禁してしまっていたかも知れません。こんなにアクション映画を観ていてワクワクしたのは、ひょっとしたら学生時代に観た「エイリアン2」以来かもしれません。
その後、バットマンとジョーカーが対決し、いったん決着がつくのですが、まだまだ映画は全然続くのです。ここまででかなり長くなったので、あとは観てのお楽しみと言うことで伏せておきましょう(観てない人が読んでるかは疑問ですが)。
しかしこれバットマンが出ていなかったら完全に単なるサイコサスペンスなんですよね。もう人間の悪意というか醜いところがこれでもかというくらい出てきますので、観ていて陰鬱な気持ちになってきます。直接のグロ描写というのは後半に出てくるあるキャラクターの外見を除いてほとんどないのですが、あまりに残酷なストーリーにPG-13では足りないような気もします。こんなの子供に観せたら確実にトラウマになるのではないでしょうか。
しかし後半の船のくだりとか、人間の善良な部分を信じる場面もありますし、ちょっとご都合主義かなとも思ったのですが、あそこで爆発していたら本当にやり切れない映画になったでしょうから、観ている私としてはちょっと救われました。
かなり長尺な映画なのですけど、もっと観ていたいと思わされる映画です。私自身、学生時代ならいざ知らず、今になってこんなにワクワクさせられる映画に出会えるとは思ってもいませんでした。長々と書きましたが、なんだか書きたかったことの半分も書けなかった気がします。全然この映画の面白さを伝えることが出来ませんでした。
断言しますが、これは名作です。



Comment
私も先週観てきましたが、全く同様の感想です。もうアメコミ映画というカテゴリーを完全に超越した最高傑作ですね。間違いなく今年のNo1映画だと思います。本当にオスカー受賞もあり得ると思います。とにかく、想像していた期待以上のできに、すべてにおいて大満足でした。
でも、何と言ってもヒース・レジャーの映画史上に残る神がかり的な迫真の演技ですね。本当に亡くなったのが残念で仕方ありません。
ところで、早くも次回作の話題が出ていて、しかも、キャットウーマン役をアンジェリーナ・ジョリーが、リドラー役をジョニー・デップなどの噂もあり、今から楽しみでもあります。
ということで、これからも宜しくお願いします。それとTBもお願いします。
コメント&トラックバックありがとうございます
私も最大級の賛辞を贈りたいほどこの映画が気に入ったのですが
私の貧弱な語彙では表現しきれないほどの傑作なので見苦しい記事になってしまいました
困ったことにハルクやハムナプトラなど
これから観ようと思っていた映画がどうでもよくなってしまい
そんな時間があるならもう一度「ダークナイト」を観たいと思ってしまいます
次回作も楽しみですねえ
今後ともよろしくお願いします
ジョーカーのキャラ設定が良かったですよね。
「憎むことさえ出来ない感じ」ってとっても分かります!
私も完全に理解不能で憎めませんでした。
でも、それは理解を諦めちゃってるのとは違いました。
上手く言えないんですけど・・・。
彼の行動の理由を教えて! という気持ちでいっぱいでした(笑)
結局答えは得られませんでしたけど、映画としてその方がいい気はします。
コメント&トラックバックありがとうございます。
ジョーカーのキャラは本当によく練られていたと思います。
こういったキレた悪役と言うのは実はもうやり尽くされていて
新鮮味を出すのが難しいのですが、なかなか斬新だと思いました。
やはりジョーカーが自分がこうなった理由をくどくど吐露しないところがいいですね。
それをやると一気に陳腐化したでしょうから。
ブログ読ませていただきましたが内容の濃いレビューで感服しました。
これからもよろしくお願いします。
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