クローバーフィールド/HAKAISHA
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半年ぶりくらいでしょうか、かなりご無沙汰していましたが、ようやく更新できました。本日観てきた映画は謎に包まれた映画「クローバーフィールド/HAKAISHA」でございます。
この映画、半年くらい前から実に魅力的な予告が流れていまして、例の自由の女神像の頭が飛んでくるアレのことですが、私もわくわくしながら公開を待ったものでした。そんなわけでかなりの期待をしながら本日劇場に脚を運んだわけでございます。あ、例によってネタバレ全開で行きますので気をつけてください。特にこの映画は秘密主義が貫かれていますので、まだご覧になっていなくて白紙の状態で映画を観たい方はこれ以上読み進まない方がいいと思います。
さてポスターにも注意書きがありますが、この映画は全く新しいアトラクションタイプの映画だそうで、気分が悪くなる恐れもあると警告されています。これでまあ想像はついたのですが、この映画は全編フェイクドキュメンタリーと言いますか、一人のデジカム撮影者が偶然事件の現場に居合わせた態で描かれて行きます。ちょっと前に話題になった「ブレアウィッチ・プロジェクト」のようなものと言えば想像しやすいでしょうか。それで事件とは何かと言いますと、最初に警告したので言ってしまいますが、実はニューヨークを巨大怪獣が襲うというモンスタームービーなのでありました。これをドキュメンタリータッチと言いますか、手持ちカメラ視点で全編描くのです。どうですか? 気持ち悪くなりそうでしょう? しかし私は「ブレアウィッチ・プロジェクト」でも「ダンサー・イン・ザ・ダーク」でも「ユナイテッド93」でも全く気持ち悪くならなかったので、カメラの揺れには耐性があるようで、今回も全く平気でした。
まず物語は回収されたテープがこれから再生されるという名目のもと、友人の送別会を撮影することになったアメリカの一市民の日常から始まります。このようにリアルな日常から非日常へと移ってパニック描写に臨場感を持たせようという主旨なのでしょうが、困ったことにこの冒頭の辺りから、事件が起こるまでの日常描写が、全くリアリティが感じられず、おや? これは一体どういうわけだ? と思ってしまいました。理由はすぐに分かりました。それは素人が撮っているビデオという体裁でありながら、出て来るのはみな美男美女ばかり、手ぶれを装いながらも対象物はちゃんとフレーム内に収める撮影、さらには俳優の演技もちゃんと間を取ったり、聞き取れないセリフは無かったりで、完全にプロが撮った普通の劇映画なのです。キャストが美男美女なのは劇映画としては当たり前、というか是非そうあってほしいと私も思うのですが、ドキュメンタリーを装っているのにそれではやっていることがチグハグな感じがします。カメラを揺らすだけでなくそこに写るものも本物っぽくすべきだった思います。役者さんたちも演技が下手ということでなく、お芝居の質が違うのです。これでは完全にドラマや映画の芝居です。素人が写っているということにしないとこの手法の意味がないと思うのです。この辺りは「ユナイテッド93」がうまくやっていたんですけどねえ…。
しかしいったん事が起こると、そんなことは気にならなくなります。送別会の最中に大音響とともに遠くで大爆発、そして自由の女神の首が飛んできて…、と凄まじいパニックとともに逃げ惑う人々がブレブレの手持ちカメラで描写されます。これってどう見ても911の影響が大きいシーンで、不謹慎ながらあの事件に対する映画人の挑戦意欲と言いますか、創作意欲のかき立てられようは、本当に大きいのだなと思います。
そしてビルに見え隠れしながら巨大生物が見えるに至って、ようやくこれが怪獣映画だと分かる仕掛けなのでした。それ以降も見せ場の合間合間にストーリーを進めるための芝居があり、それがまたちゃんとした映画としての演技なので私的には少し萎えながらも、しかしアトラクションとしての臨場感はやはりさすがです。こんなにカメラが揺れているのにVFXというかCGはちゃんとそこに怪物がいるように、大破壊が起こっているように見えます。本当に技術の進歩と言うのは凄まじいものです。
今回の怪物は、まあこういった手法であるので正体が何かというのは分からないのですが、小さな子供を生んで、そいつらが襲ってきたり、と「エイリアン」とかでもお馴染みのベタな展開が繰り広げられたりします。噛まれた女性の行く末などは、こういうジャンルの映画を見慣れた人なら容易に予想がつくと思います。
なんだかいちゃもんだけつけているようですが、怪獣映画をフェイクドキュメンタリーで撮るというコンセプトそのものは凄く意欲的だと思います。技術的にも凄いと思います。脚本はありきたりですが、それは手法が凝っているからそこは逆にオーソドックスにしたのだと思います。ただ一番の不満はやはり結末に何のカタルシスもなく、事件そのものがどうなったかも分からないまま終わってしまうことでしょうか。もちろんこの映画としての締めはあるのですが、もう少し効果的にならなかったのかなと思います。こういう仕掛けは韓国映画にやり尽くされてしまったのかも知れませんね。
あとラストのエンドロールでこの映画唯一の音楽が流れるのですが、それが伊福部昭を多分に意識したような正統派怪獣映画の音楽なのが面白いと思いました。作品の方向性とは真逆だと思うのですが、彼らの怪獣映画へのリスペクトは本物だと思いました。
まあ私は欲を言いすぎなんだと思います。このジャンルに興味がある人は観て損はない映画と思います。劇場で観て料金分は楽しめるアトラクションでしょう。



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