キリング・フィールド
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本日はカンボジア紛争の実体を描いた迫真の戦争ドラマ「キリング・フィールド」について書いてみたいと思います。これはゴールデン洋画劇場で観ました。ですからオリジナル全長版でなく、また日本語吹き替え版で観た感想であることをお断りしておきます。普段こういうことは書かないのですが、何となくこれは書かなくてはいけないような気がして一応書いておきました。
監督はローランド・ジョフィさんです。寡作な人なのですが、この他にも「ミッション」とか「シティ・オブ・ジョイ」とか凄い映画を撮っています。私がこの映画に興味を持ったのは、音楽がマイク・オールドフィールドだったからです。当時私はプログレッシヴ・ロックが大好きで(今でもですが)、どんなスコアを書いているのだろう、と気になったのです。そして私はレンタルレコード店でサントラを借りたものの、劇場へは観に行かなかったのです。ジョフィさん、ごめんなさい。でもサントラは最高でした。
そして時は流れ、ゴールデン洋画劇場で放送されることになったとき、そう言えばこれ観てないなと思って、軽い気持で観たのでありました。その時はもう「ミッション」の方は観ていて度肝を抜かれていたと思います。
この映画はアメリカ人ジャーナリストがカンボジアで体験したノンフィクションの映画化で、リアリズムを基調とした生々しいドラマが特徴です。戦争映画というと戦闘シーンに主眼を置いたものを連想しますので、戦争映画というのは少しためらわれます。もちろん戦闘シーンも出てきますが、それはメインではなく、戦争がいかに人々に、その国に対して深い傷跡を残すかというそちらの方を描くことに主眼を置いています。そのように戦争の悲惨さを訴える反戦映画なわけです。
だから私はこの映画の前半があまり印象に残っていなかったりします。もちろん当時のカンボジアの様子をよく描いていると思います。ドキュメンタリータッチと言ってもいいくらいリアルで、ジョフィ監督はそちらの出身かと思ったら意外にもテレビドラマ出身なのですね。珍しく今調べてみました。
アメリカ人記者は現地でカンボジア人のガイドを雇って内戦の様子を取材して行きます。しかしいよいよ戦火が激しくなったところで、アメリカに脱出してしまいます。私もあまり政治的なことが分からなかったので、それで前半の内容が印象にないのかも知れません。まあ反米勢力が強くなっていったことさえ分かれば、この映画については充分なのですが。とにかく脱出した彼はカンボジアの様子を記事にしてピューリッツァー賞を受賞します。この辺は本当のことなのでしょう。しかしカンボジアにはあのガイドが残っているのです。当然彼はアメリカ人と仲良くしていたので、反米勢力に捕まり、ヒドい目に会います。実はここからの展開がこの映画の白眉なのでありました。
もう映画の主役はこのガイドではないかと思えるくらい、ここから映画を引っ張って行きます。彼は強制労働させられ、仲間達も次々と処刑され、アメリカ人記者が自国でのうのうとしている間に地獄巡りをさせられるのです。さすがに良心の呵責に耐えられなくなったのか、あるいは彼が捕まっている情報を得たのか、ちょっとこの辺は記憶があいまいですが、ようやくアメリカ人記者も彼を助けにカンボジアに向かいます。
ガイドは何とか強制労働所から脱出し、戦火の跡地を逃げ回ります。ここでの身の毛もよだつようなシーンが忘れられません。彼が足を滑らせて、沼地に転がり落ちるのですが、何とそこは大量の死体を処置したのか、周りが白骨だらけの場所なのです。沼につかりながら、恐怖と驚きにブルッと身を震わせる演技は迫真のものがありました。あれは演技ではなかったのかも知れません。私の勝手な憶測ですが、役者さんもカンボジア人ですので、悲惨な自身の経験をダブらせて、本当の恐怖を呼び覚ましたのではないでしょうか、そう思えるくらい本当っぽい怯えようだったのです。このシーンは特に驚かすような演出もなく、むしろ淡々としていて、逆に戦争の恐ろしさが感じられました。
そのような修羅場をくぐり抜け、ラストにおいて、ようやく二人は再会します。アメリカ人ジャーナリストが「許してくれ」と言うのを、ガイドは「許すことなど何もない」と答えます。これはもうここまで観て来た人なら絶対泣いてしまう台詞です。こんなの反則です。ただ私はこのシーンのバックにかかっている「イマジン」が逆に余計だと思ってしまいました。欲を言えば最後までそういう演出はしてほしくなかったんですが…、まああまり細かいことは言いっこ無しにしましょう。
この映画について、主役であるアメリカ人記者の、ひいてはアメリカの大国主義が気に入らないからと批判する向きもあるかと思いますが、それは本人やアメリカを批判すればいいことで、映画の評価とはまた別の問題だと思います。実際に起こったことがそうだったからしょうがないというだけのことで、むしろそれを誤摩化すことなく、ありのまま描いている点で、非常に公正な映画だと思います(まあイギリス映画ですし)。
ちなみに映画の後に高島忠夫さんが解説で「カンボジア人ガイドの人は助演男優賞を取りましたが、これは主演男優賞であるべき」という旨のことを言われてまして、これには大変同意なのですが、もう一つ「最後の台詞はいらなかったんじゃないか」と言っておりまして、それはなきゃダメだと思ったものです。というかこの映画って多分後半からはこのアメリカ人ジャーナリストがゴメンと謝りたかったという一点で引っ張っているようなものですので、そこは謝らせてあげようよと思いました。しかしかく言う私もオリジナル版を観ていませんので、これもちゃんとDVDとかで観てみようと思います。



Comment
私がこの映画を見たのは大学4年の時でした。
いろんな批判があるのですが、私は自然に作品の
中に入って行けました。なぜだか自分でもわかりま
せん。印象深いシーンは、ヘリコプターで家族を
脱出させるシーンと、フランス大使館で偽造パス
ポートを作ろうとして写真が真っ黒になって
失敗するシーンです。
この状況下に自分が置かれたらどうするだろう?
ただただ、それだけだったかもしれません。
すんなりとラストの再会も受け入れることが
できました。謝りたかった人と会いたかった人が
再会できたのだから本当にほっとしました。
ラストの一言、日本語と英語では少し雰囲気が
違います(笑)ホントです。さりげなく「Nothing」
と言うのと日本語で「何もない何も・・・」では
少し感じが違ってがっかりでした(爆)
それと、ハイン・S・ニョールとその他のカンボジア
人役の役者さん達・・演技ではなくマジだったと
私は思っています。実際、ハイン・S・ニョール は
撮影中に過去の経験を思い出して感情のコント
ロールが出来なくなったことがしばしばあったよう
です。途中で怒り狂ったポルポト派の将校が出て
きますが、当時の元少年兵だったのでは?と勝手に
想像しています。
やはりあのカンボジアの方は内戦を体験した方なんですね。
英語のことも含め、前半をちゃんと観るためにまた見直してみます。
当時は別のことをしていたわけでしょうから。
ところでハイン・S・ニョールさんも亡くなられてたんですね。
あの危険な地域を生き抜いてアメリカで強盗に射殺されるとは、
なんともやりきれない思いを感じます。
ご冥福をお祈りします。
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