生まれてから今まで観てきた映画全部

タイトル通り、生まれてから今まで観てきた映画全部についての感想を述べたいと思います。

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ウルフガー

Author:ウルフガー
業界の末端に携わっている映画好きです。名前の由来は「ナイトホークス」より、ルトガー・ハウアー扮するテロリストから勝手に頂きました。

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ハンコック

今日は「ハンコック」を観てきました。たった今帰ってきたところです。言い訳をするわけではないのですが、シネコンに行って、ちょうど時間に合うのがこの映画しかなかったのです。観てもいいかなと思っていたので、まあ観てみるかという感じだったのですが、いやーちょっと残念な感じの映画でした。

この映画に関しては、劇場でかかっていた予告しか観ていなかったのですが、ウィル・スミスが型破りなヒーローをやるちょっとコメディチックなSFアクションだと思っていました。で、まあ内容はそんな感じなのですが、結論から書くと、非常にお話が行き当たりばったりで表面的で、どうにも面白くなりませんでした。

アイデアはいいと思うのです。不真面目なヒーロー、しかも事件を解決するたびに周りに迷惑ばかりかけているという厄介者です。そんな奴が主人公だったら面白いだろうなあ、と誰かが思いついたのでしょうが、この映画はそれだけで終わっているような気がします。

普通映画というのは脚本を書いて、プロデューサーやら監督が面白そうだとオーケーを出して、それが完成してから撮影に入るものだと思うのです。ひょっとしたら時間がなくて脚本が出来上がらないうちに撮影しなければならない場合もあるのかもしれません。ひょっとしてこの映画もそうして作られたんじゃないか? と思えるくらい、観ていて話の方向性がどんどん変わっていくのです。

私はシャマラン監督の映画が好きというだけあって、映画の内容が期待と違っていてもかなりフレキシブルに気持ちを切り替えてついていく自信があったのですが、この映画にはついていけませんでした。それでも2回ほどは気持ちを切り替えたのです。でも途中で置いてけぼりにされてしまいました。

まずハンコックが冒頭で酔っぱらいながら型破りな手段で強盗を捕まえます。いろんなものをぶち壊しながらです。ここらあたりはちょっと面白いです。それで市民たちに非難されるのですが、この辺りはアメリカのおかしなところをカリカチュアしているようで、「ああ、黒人であるウィル・スミスの個性を利用してその辺りを風刺するブラックコメディをやりたいのだな」と思っていたのですが、そういう意図ではなかったようです。映画は本当にハンコックが悪いのだとして、彼が心を入れ替えて本当のヒーローとしてどう更生していくかという内容になっていきます。

広告代理店か何かの社員なのでしょうか、レイという男と知り合って、ハンコックは彼の提案でみんなに謝り、刑務所に入ります。でもハンコック自身にどういう心境の変化があったか分からないうちに、事件が起きて呼び出され、新コスチュームで活躍します。普通ならここで凄いカタルシスを感じたいのに、全てが突発的なのでいまいち盛り上がりません。

で何とか強盗も捕まえてハンコックはヒーローとして認められるのですが、ここまでで映画の半分くらいです。その後どうなるかと言うと、レイの妻が実はハンコックと同じようなスーパーヒーローだったと分かり、何故かこの二人の戦いになっていきます。まあサプライズとしてはなかなかいいのですが、その設定とかが後付けというか、正直何も考えてないでしょ? と聞きたくなるくらいいい加減です。それも全部セリフで説明されるので、これを面白がれというのが無理です。で、ハンコックは記憶喪失なのですが、もう何千年も生きており、以前その女と恋人だったとか何とか…、それでレイと三角関係でドラマ的に盛り上げるのかと思いきや、別にそうなるわけでもなく、ハンコックが撃たれて病院送りになったり、この辺りから何をやりたいのか正直分かりませんでした。書き忘れましたけどレイの奥さんというのはシャーリーズ・セロンさんです。ひょっとして彼女に見せ場を与えるためにこういう展開にしたわけではないでしょうけど…。

好みが合わなくて楽しめなかったというのとは違うのです。正直ハリウッド映画でこのクラスの役者さんが出ていて、これだけのお金がかけられている作品で、こんなにいろいろ失敗している映画は珍しいと思います。明らかにどこかで計算違いが起こっています。作った人たちもこんなはずではなかったと思っているのではないでしょうか。これでうまくいったと思っているのなら目も当てられません。

とにかく私は観客として面白い映画が観たいのです。レイと出会ったり、その妻が昔の恋人だったり、ハンコックが服役したときに銀行強盗があったりという、そういうことが全部偶然なのでは全く話に入っていけません。こっちはもっとハラハラしたいのです。ハンコックが撃たれて重傷を負ってから、「私たちが近づくと力が失われる」と言われても困ります(しかもその割にはさんざんスーパーパワーで戦っていましたし)、最後の脱獄してきた銀行強盗たちも、ハンコックが傷を負ったのをニュースで知ってから「今なら殺せる」と脱獄してきてくれないと、こっちはハラハラできません。そもそもそういうシーンがないので、不死身であるはずのハンコックをどうやって殺そうと思って脱獄してきたのかさっぱり分かりません。シャーリーズ・セロンさんも、正体を明かしてからは完全に悪役になってハンコックを今にも倒すところまで追いつめてから、やはり殺せずに助けてしまうということにしないとこっちは感動できません。レイにしても、いったんハンコックとは絶交だ、くらいにこじらせておかないと最後の危機を救うところで盛り上がれません。そういう観客の心をどういう方向に持っていくのかという演出が全くないのです。これだったらハンコックがヒーローとして認められる話だけにしぼって、ちゃんと作ってもらった方が良かったと思います。

なんだかいちいち文句を言っていたら長くなっていましたが、根本的な問題はハンコックというヒーローと対立する悪役が不在ということが原因なのかもしれません。もしはっきりとした悪役なしにヒーローものが作れるかという実験がしたかったのなら、「作れるが面白くはならない」という結果が得られて良かったね、と言うしかありません。

トロン

トロントロン
(2005/12/21)
ジェフ・ブリッジズブルース・ボックスレイトナー

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さて本日はCG映画の元祖とも言うべき「トロン」をご紹介したいと思います。部分的にはそれまでも「ルッカー」や「デモンシード」に使われていたのですが、映画全編に渡って大々的にコンピューターグラフィックスが使われたのは、確かこれが最初だったと思います。

これは公開当時、家族揃って劇場に観に行きました。予告か何かでバイクのシーンを見て、何これ最高なんですけど、と思って期待感は満点でした。しかしそのシーンはあまり長くなくてちょっとしょんぼりした記憶があります。

ジェフ・ブリッジス扮するプログラマーがひょんなことからコンピューター世界に入ってしまうのです。今で言うサイバー空間というのでしょうか。もちろん当時はそんな言葉はなかったわけですから、映画としては相当先取りしたアイデアです。

で、電脳空間では、普通のファンタジー系の映画の王道的なパターンで、見知らぬところで仲間を見つけて、悪い奴のところまで行ってそいつをやっつけるという、まあ一本道なRPGみたいな感じです。しかしそこにひねりなど最初から求めていないので、それは別にいいのです。

やはりこの映画は映像に尽きます。これが本当に一見の価値のある物で、なぜもっと再評価されないのか不思議でしょうがありません。思うに技術が進歩した今から見ると、当時の技術って大したこと無いのねー、とか、昔にしては頑張ってるのねー、みたいな言われ方をどうしてもされてしまうのかもしれません。しかし本当によくよく見てみれば、技術的どうのこうのは私はよく分からないのですが、映像そのもののカッコよさでは、全然今のCG映画に負けていません。

というのも当時はさすがに技術や処理速度の問題で、画面上にあまりたくさんのキャラクタは作れず、それ以外の部分が真っ黒であったりします。しかしそのバランスというか、画面構成は計算され尽くしていて、デザイン的に凄く秀逸な画作りがなされています。今のアニメチックなキャラクターをとりあえず3Dにしてみましたよ的なCG映画よりよほどクールです。

メビウスのデザインによるコスチュームとか、バイクのスピード感も凄いです。ここら辺などはちゃんと演出でスピード感を出しています。技術の問題をフォローしようと、演出や小道具や、とにかく知恵を絞っていろんなアイデアを出したのでしょうね。この映画の成功はデジタルの勝利ということではなく、アナログとデジタルの融合に成功した勝利という感じです。

当時は全く気がつかなかったのですが、ジェフ・ブリッジスさんが主演だったのですね。ただこの映画に関しては誰が主演でも同じようなものでしたので、その点だけはちょっとお気の毒な感じがしました。

暴走機関車

暴走機関車暴走機関車
(2006/01/25)
ジョン・ヴォイトエリック・ロバーツ

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最近私の趣味で偏った映画ばかり紹介していますが、本日もマイフェイバリットな一本「暴走機関車」です。よく月曜ロードショーでやってましたのでそちらをご覧になった方もいるかもしれません。黒澤明さんが原案で、ロシア出身のアンドレイ・コンチャロフスキーさんが監督の骨太アクション映画であります。

ジョン・ボイト扮する主人公マニーは刑務所内でカリスマ的存在の囚人で、刑務所長から目の敵にされていじめられてます。ついに囚人を使って殺されそうになったので、エリック・ロバーツ扮する若い主人バックと脱獄を決行します。下水道をすべって外に出る二人。外は酷寒の雪景色です。二人は走り出した機関車に飛び乗るのですが、偶然機関士が心臓発作で転落、機関車は二人を乗せたまま暴走を始めるのでした。

まず刑務所内の生々しい映像が凄いです。70年代の映画のようなリアルな質感で最低の環境を描いています。こんなところからは誰だって脱獄したくなります。マニーたちが脱獄すると刑務所内が騒がしくなるのですが、それを刑務所長は一人で演説して鎮めます。ここのセリフが凄いです。「まず神がいる。その次が所長、そして看守。その次が外の犬たち。その下がお前たちだ。最低のウジ虫だ」という、まあうろ覚えなのですが、ジョン・P・ライアンの名演と相まって、この映画の方向性を決定づけるような名シーンとなっています。

そして何と言っても凄いのが、一面の雪の世界、そして有無を言わさぬ迫力で疾走する機関車です。大自然と人間が作り出した怪物、どちらに対しても人間の力など無力と言わんばかりの過酷な展開が待っています。機関車が暴走を初めて最初の衝突シーンなどは映画だと分かっているのに、うわ本当にぶつかったよ、などと驚いてしまいました。それまでのリアルな描写のせいでしょうね。

その衝突で先頭車両がつぶれた機関車は何か本当に怪物みたいに見えて不気味です。機関車に実はもう一人乗っていて、それがレベッカ・デモーネイ扮する女性なのですが、この三人が生き延びるために何とか機関車を止めようとあがいていきます。極限状態の中で、マニーのメッキが剥がれ、彼もまた一人の人間でしかないことが分かり、彼を崇拝していたバックが寂しそうな表情をするところが印象的です。

もうどうにも打つ手がなくなった頃、所長がヘリでこの機関車を追いかけてきます。これ物語としてははっきり言ってめちゃくちゃです。いくら二人の間に因縁があるからと言って、所長自ら追ってはきませんよ普通。しかもハシゴにぶら下がって機関車に飛び移ってくるんですよ。下手したら馬鹿映画です。でも全てのアクションが生身の人間によって行われているという(もちろんスタントマンでしょうが)、誤摩化しなしの演出のせいで、観ているうちはそんなツッコミはしていられません。この辺りのアクションはもう本当に映画史に残ると思います。全体的に命がけすぎます。

最後のまとめ方も強引ですし、とにかく力技な映画です。私はこの映画は大好きですし、アクションも凄いし、映像や編集など、全てのクオリティが高いと思うのですが、やっぱりどこかおかしいと思ってしまいます。でもそれは悪い意味でなく、問題だらけのストーリーも含めて一種異様なテンションがこの映画を希有なものにしていると思うのです。この世界観に一番近いのは梶原一騎さんや小池一夫さんの劇画かもしれません。すみません、また漫画を引き合いに出してしまって…。

私はいつか大きなモニターを買って、自宅にホームシアターみたいなものを作りたいという夢を持っているのですが、そこで一番最初に観たいのは実はこの映画であったりします。
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