崖の上のポニョ
「ポーニョポーニョポニョ魚の子〜」という歌がこの一週間くらい頭の中にこびりついて離れないので早速観に行ってきました「崖の上のポニョ」です。説明するまでもないと思いますが宮崎駿監督の最新作で、魚の子のポニョと人間の男の子の純愛ラブストーリーを描いた作品で、「ハウルの動く城」を観ていない私にとっては「千と千尋の神隠し」以来の宮崎アニメでした。
いやあ楽しかったですねえ。もう夏休みですし、日曜日でもありましたので、劇場は家族連れで賑わってまして、久しぶりに満員の映画館でワイワイしながら映画を観るという経験ができました。
それで映画ですが、冒頭から手描きの感じをかなり意識した柔らかい絵柄で一気に作品世界に浸ることができます。ほとんど台詞がなく、ポニョがなんか研究者のところから脱出するくだりから始まります。まあ実は親父だと後で分かるのですが。
外の海に出てクラゲに乗って海面まで出ますが、漁の網に捕まりそうになったりなんやかんやしているうちにビンにハマって岸に漂着します。それを見つけたのが崖の上の家に住む宗介という男の子でした。もうここまででかなり面白いです。動きが凄いのは当然ですが(いや当然で済ませちゃダメなんですけどね)、網に捕まりそうなところのサスペンスや、そうかと思うとユーモラスな動きも飛び出して、ああアニメってこういうもんだよなあ、と大げさにもちょっと感動してしまいました。
あの風貌のポニョを見て宗介がいきなり「あ、金魚だ」と言うので度肝を抜かれますが、この世界の人間には普通に金魚に見えるようです。しかしおばあちゃんの一人は人面魚だと言ったりしてよく分かりません。あまり深く考えてはいけないのでしょう。
物語が地上に上がると、絵柄がまたちょっと変わります。背景なんか色鉛筆で塗ったかのようです。その中を自在にキャラクターが動き回るのはちょっと観ていて不思議な感じがします。手描きっぽいんですけど、恐らく随所にデジタルな技術を使っているんでしょうね。よく分からないのでちょっと言及は避けておきますが。
お話は陸に上がったポニョをお父さんが追いかけてきて連れ戻し、またポニョが逃げようとして、お父さんが研究していた「生命のスープ」とでも言えばいいのでしょうか、原始の海のエキスのようなものを間違って流出させてしまい、大騒ぎになってしまうという感じです。ポニョ自身もそのエキスの影響で魔力を持ってしまい、人間に変身します。さて宗介と出会えるか、みたいな盛り上がりを見せておいて、あっさり出会ってしまい、魚のポニョだとすぐに分かってもらえます。その辺は映画の半分くらいでうまくいってしまいます。
「千と千尋の神隠し」の時も思ったのですが、宮崎さんの脚本は本当に掟破りと言うか、脚本のセオリーから言ったらやってはいけないことばかりやっていて、他の人がこんな脚本で映画を撮ったらとてもじゃないけど成立しないんですが、なぜか宮崎監督作品だと気にならないので不思議です。
意図的にやっているのかも知れませんが、この映画もアンチクライマックスと言うか、中盤のポニョが津波とともに戻ってくるところが一番の盛り上がりで、後半はむしろ淡々としています(つまらないというわけではありません)。
一応二人のラブストーリーになっているのですが、二人の仲を裂くような障害があからさまに用意されているわけではありません。町が水没して大騒ぎにはなっているのですが、何か町の人もそう深刻に苦しんだりはしないのです。それで(ああネタバレしますね)最後にポニョが人間になることを選択したら、天変地異が全部解決したりします。ポニョが魔力を捨てるからという理屈なんでしょうが、途中まで一体何が問題だったのか分からなくなるくらい煙に卷かれた感じがします。普通だったらここで「どういうことだよ!」といちゃもんの一つも言いたくなるのですが、面白かったのでまあいいか、と思ってしまいました。今思うと「千と千尋の神隠し」の時もそうでした。
一部に主観的な演出を取り入れていて、ずっと宗介とポニョの動きばかりを追っていて、その裏で何が起こっているのか分からないシーンが多くあります。場面転換が極端に少ないのです。知らないうちにある人たちとある人たちが出会っていて、話がついたりしています。そういうところも、本当ならもっと見せるべきだろ、と普段の私なら言うのですが、まあ別にいいかという感じでした。映画って不思議ですね。
他にも理由や設定を説明していないところが多くあるのですが、まあその辺もいろいろ解釈できるようにしているのかなと思います。さすがにトンネルのところとかは他と違ったトーンで演出していますので、象徴的に言いたいことを表しているのでしょうが、そういう考察もやってもいいのですけど、それで面白くなるかというとそうでもなさそうなのでやめておきます。まああれは大人になることへの不安とか、人と対立することへの逡巡や、性への目覚めの恐怖とか、そういうことを表しているのかな、と漠然と思っていればいいかと。もしもっと大事なことであったなら宮崎さんゴメンなさい。
全く書けなかったのですが、宗介のお母さんやおばあちゃんたちのキャラも素晴らしく、イヤな人間が一人も出てきません。お父さんも登場するのですが、ストーリーに全く絡めず終わってしまうのもシャレが効いています。終わり方も最高ですし、非常に面白い映画でした。子供だけに見せておくのは勿体ない映画だと思います。あとエンドクレジットも例の歌がワンフレーズ流れただけでサッと終了するので、最近のエンドロールのやたら長い映画は見習って欲しいものだと思います。
いやあ楽しかったですねえ。もう夏休みですし、日曜日でもありましたので、劇場は家族連れで賑わってまして、久しぶりに満員の映画館でワイワイしながら映画を観るという経験ができました。
それで映画ですが、冒頭から手描きの感じをかなり意識した柔らかい絵柄で一気に作品世界に浸ることができます。ほとんど台詞がなく、ポニョがなんか研究者のところから脱出するくだりから始まります。まあ実は親父だと後で分かるのですが。
外の海に出てクラゲに乗って海面まで出ますが、漁の網に捕まりそうになったりなんやかんやしているうちにビンにハマって岸に漂着します。それを見つけたのが崖の上の家に住む宗介という男の子でした。もうここまででかなり面白いです。動きが凄いのは当然ですが(いや当然で済ませちゃダメなんですけどね)、網に捕まりそうなところのサスペンスや、そうかと思うとユーモラスな動きも飛び出して、ああアニメってこういうもんだよなあ、と大げさにもちょっと感動してしまいました。
あの風貌のポニョを見て宗介がいきなり「あ、金魚だ」と言うので度肝を抜かれますが、この世界の人間には普通に金魚に見えるようです。しかしおばあちゃんの一人は人面魚だと言ったりしてよく分かりません。あまり深く考えてはいけないのでしょう。
物語が地上に上がると、絵柄がまたちょっと変わります。背景なんか色鉛筆で塗ったかのようです。その中を自在にキャラクターが動き回るのはちょっと観ていて不思議な感じがします。手描きっぽいんですけど、恐らく随所にデジタルな技術を使っているんでしょうね。よく分からないのでちょっと言及は避けておきますが。
お話は陸に上がったポニョをお父さんが追いかけてきて連れ戻し、またポニョが逃げようとして、お父さんが研究していた「生命のスープ」とでも言えばいいのでしょうか、原始の海のエキスのようなものを間違って流出させてしまい、大騒ぎになってしまうという感じです。ポニョ自身もそのエキスの影響で魔力を持ってしまい、人間に変身します。さて宗介と出会えるか、みたいな盛り上がりを見せておいて、あっさり出会ってしまい、魚のポニョだとすぐに分かってもらえます。その辺は映画の半分くらいでうまくいってしまいます。
「千と千尋の神隠し」の時も思ったのですが、宮崎さんの脚本は本当に掟破りと言うか、脚本のセオリーから言ったらやってはいけないことばかりやっていて、他の人がこんな脚本で映画を撮ったらとてもじゃないけど成立しないんですが、なぜか宮崎監督作品だと気にならないので不思議です。
意図的にやっているのかも知れませんが、この映画もアンチクライマックスと言うか、中盤のポニョが津波とともに戻ってくるところが一番の盛り上がりで、後半はむしろ淡々としています(つまらないというわけではありません)。
一応二人のラブストーリーになっているのですが、二人の仲を裂くような障害があからさまに用意されているわけではありません。町が水没して大騒ぎにはなっているのですが、何か町の人もそう深刻に苦しんだりはしないのです。それで(ああネタバレしますね)最後にポニョが人間になることを選択したら、天変地異が全部解決したりします。ポニョが魔力を捨てるからという理屈なんでしょうが、途中まで一体何が問題だったのか分からなくなるくらい煙に卷かれた感じがします。普通だったらここで「どういうことだよ!」といちゃもんの一つも言いたくなるのですが、面白かったのでまあいいか、と思ってしまいました。今思うと「千と千尋の神隠し」の時もそうでした。
一部に主観的な演出を取り入れていて、ずっと宗介とポニョの動きばかりを追っていて、その裏で何が起こっているのか分からないシーンが多くあります。場面転換が極端に少ないのです。知らないうちにある人たちとある人たちが出会っていて、話がついたりしています。そういうところも、本当ならもっと見せるべきだろ、と普段の私なら言うのですが、まあ別にいいかという感じでした。映画って不思議ですね。
他にも理由や設定を説明していないところが多くあるのですが、まあその辺もいろいろ解釈できるようにしているのかなと思います。さすがにトンネルのところとかは他と違ったトーンで演出していますので、象徴的に言いたいことを表しているのでしょうが、そういう考察もやってもいいのですけど、それで面白くなるかというとそうでもなさそうなのでやめておきます。まああれは大人になることへの不安とか、人と対立することへの逡巡や、性への目覚めの恐怖とか、そういうことを表しているのかな、と漠然と思っていればいいかと。もしもっと大事なことであったなら宮崎さんゴメンなさい。
全く書けなかったのですが、宗介のお母さんやおばあちゃんたちのキャラも素晴らしく、イヤな人間が一人も出てきません。お父さんも登場するのですが、ストーリーに全く絡めず終わってしまうのもシャレが効いています。終わり方も最高ですし、非常に面白い映画でした。子供だけに見せておくのは勿体ない映画だと思います。あとエンドクレジットも例の歌がワンフレーズ流れただけでサッと終了するので、最近のエンドロールのやたら長い映画は見習って欲しいものだと思います。

