デス・プルーフ in グラインドハウス
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さてぶっ続けで幕間の予告が始まります(何だかわけの分からない食べ物のCMも入ります)。うろ覚えですがナチ収容所の狼女みたいな映画、これはたぶんイルザや女体拷問人グレタのパロディでしょう。何をやってもいけないというホラー映画「Don't」、そして一番ヤバくて傑作だと思ったのが「感謝祭」という映画です。これもホラーですが、本当に昔ありそうな感じのホラーで爆笑しました。「マニアック」とかあの辺りでしょうかね。
続く「デス・プルーフ」はクエンティン・タランティーノらしく、冒頭から会話が面白い映画です。女たちが馬鹿話をしながら適当に遊ぼうかと思っていたら、殺人鬼に出会って…、という典型的なホラー映画なのですが、最初の殺人が起こるまでが長過ぎます。大げさでなくちょっとうとうとするほどだと思います。さすがにセリフはよく練られているのですが、バランスが悪い感じがします。しかし、それこそがタランティーノ流の、グラインドハウス映画へのリスペクトなのでしょう。当時こういった前半がえらく退屈な映画はよくありました。それを再現しているのです。これが意図的なのは例によって一巻消失のネタをやるのですが、その後も依然として事件が起こっていないことでよく分かります。「プラネット・テラー」と逆のアプローチですね。どんだけ前半退屈なんだよという感じです。しかし「プラネット・テラー」を観て、表面的には昔のB級映画をなぞっているけど中身は完全に現代の映画だなあ、と少し不満を持った私は、そういった構造まで再現した「デス・プルーフ」を観て、やっぱりそこは再現しなくていいか…、と考えを改めたのは言うまでもありません。
殺人鬼は元スタントドライバーでしたっけカート・ラッセルです。この人が「バニシング・ポイント」などのカーアクション映画のうんちくを語りながら女を誘い、助手席に乗せて、暴走して殺すのです。その車が撮影用にフレームを強化したデス・プルーフ(耐死構造)の車なのです。そいつでもって主演かと思われた女たちの車に正面から激突し、一瞬で全員を殺すシーンは大迫力です。ここまでで大体映画の半分くらい、まるで「サイコ」で金を持ち逃げした女が殺された時のような驚きがあります。一体この映画これからどうなるんだ? そういう感覚です。
カート・ラッセル自身もケガを負ったのですが、そのせいで事件は事故と判断されてお咎め無し、すぐに次の獲物を物色します。ここで出て来るのが「キル・ビル」でユマ・サーマンのスタントダブルを務めたというゾーイというスタントウーマンです。彼女が本人役で登場という大抜擢。女4人組が、売りに出されたダッチ・チャレンジャー(「バニシング・ポイント」に使われた車)を試乗しようという話です。そこでゾーイがボンネットに乗ってみたいと言いだしたものだから大変。その姿を観たカート・ラッセルは、ボンネットにゾーイを乗せたまま走る車を追いかけて、体当たりを食らわせるのです。実際観てもらえれば分かりますが、このくだりのスタントは壮絶すぎてちょっと言葉がありません。もちろん安全対策は施しているのでしょうが、これだけのスピードで走ったら車なんてどう動くか分かりません。極端なことを言えばハンドル操作一つ間違えただけで横転する恐れもあります。そうしたらボンネット上のゾーイはほぼ間違いなく死ぬわけで、よくこんな危険なシーンを撮ったものだと思います。
あまりネタバレするのも何ですのでそこから先の展開は観てのお楽しみにしておきましょう。しかしアクションヒーローを演じていた頃のカート・ラッセルからは考えられないような自由奔放な演技に抱腹絶倒は間違いなしとだけ言っておきます。The Endが出るタイミングも凄まじすぎます。前半がこれで後半がこれって明らかに映画として壊れているのですが、先ほども言ったとおり、ロドリゲスは一つの映画としてまとめて昔のB級映画風のエッセンスでパッケージしたのに対し、タランティーノは内容そのものを破綻させて昔のB級映画風味を再現したのです。前半は退屈だったのですが、後半のテンションの高さ、痛快さ、爽快感は「デス・プルーフ」の方が上でしょう。この上映順は実に正しいと言えます。
しかし二人ともどんだけラス・メイヤーが好きなんだよ、と思いました。特に「ファスタープッシーキャット キル!キル!」に対するオマージュは、「プラネット・テラー」のオープニングや、「デス・プルーフ」で女たちの一人が来ているTシャツから明らかです。もちろん女が男をボコボコにするというのもそうです。私はこれに限らず映画の元ネタが何だという知識はあまりないので、普段そういうことを書かないのですが、珍しくそういうのが分かったので嬉しくなって思わず書いてしまいました。




