生まれてから今まで観てきた映画全部

タイトル通り、生まれてから今まで観てきた映画全部についての感想を述べたいと思います。

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ウルフガー

Author:ウルフガー
業界の末端に携わっている映画好きです。名前の由来は「ナイトホークス」より、ルトガー・ハウアー扮するテロリストから勝手に頂きました。

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ディセント

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シャウナ・マクドナルド (2006/11/29)
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えー、DVDで見たのですが、久々と言ってもいいホラーの秀作「ディセント」でございます。何がどう秀作なのかと言われても説明が難しいのですが、ただ単に人が死んだりバケモノが出てきたりというだけでなく、人の心のイヤな部分を描いていたり因果応報みたいな価値観が物語を貫いていたりしたら、私にとってはかなり評価の高いホラーになります。すみません、相変わらず私は70年代の映画を基準にしているようです。

物語は冒頭からかなりショッキングです。アウトドアが大好きな女性サラがカヌーでの渓流下りの帰りに交通事故で夫と子供を亡くします(この事故描写がかなりビックリします)。それでふさぎ込んでいたら彼女を元気づけようと友達が洞窟探検に誘います。そうして女だらけのメンバーで地下洞窟を探検するのですが、奥へ行くうちに岩が崩れ落ちて出口がなくなり、さらに得体の知れない生き物に襲撃される、という展開になっていきます。この謎の生物というのが、まあぶっちゃけ地底人なのですが、これが出るまでちょうど映画の半分時間をかけていまして、地底人が出た瞬間に、「え? こんな映画だったの?」と驚く人も多いと思います。これが受け入れられるかどうかでこの映画の評価が変ると思いますが、私は受け入れるどころか手を叩いて喜んでしまいました。

そんなこんなで地底人にやられていく女達ですが、けっこう反撃して倒したりして強いです(というか意外に地底人が弱い)。さらに仲間割れとかドロドロした人間同士の醜い争いもあったりして、一筋縄ではいきません。恐怖とちょっとしたアクションでテンション上がって、いい感じで終わるかと思いきや、もの凄い急転直下のオチで絶望のどん底に突き落とされるのが見事です。なんとなく「未来世紀ブラジル」を思い出しました(あれはホラーじゃないですが)。

あと地底人の見せ方がやっぱりうまいですねー。何も説明してないんですが、何となく分かる感じがします。この監督さんは以前に「ドッグ・ソルジャー」という低予算ホラーを撮っているそうですが、そちらは未見なので見てみようかなと思いました。

ラブ★コン

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藤澤恵麻 (2007/01/01)
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劇場公開時に観に行こうと思いつつ、ついつい観そびれていたのが、ようやくDVDで観られました。「ラブ★コン」でございます。お話はたわいもないもので、背の高い女の子と背の低い男の子が、互いに憎まれ口を叩きながら、悪友だったのが、だんだんと恋に落ちるというラブコメディです。「ラブ★コン」のコンとは、二人の身長に対するコンプレックスのことでございます。

原作はかなりの長さの少女マンガなのですが、この映画ではうまくエッセンスを抜き出して、原作に忠実でないにも関わらず、見事に一本の映画として独自の面白さをかもし出しています。主演の二人は達者とは言えないまでも、好演で、観ていて微笑ましくなります。特に小池徹平くんは実にハマり役です。藤澤恵麻さんもイメージは多少異なるものの身体を張った芝居で物語を引っ張って行きます。この二人とその友人たちの若いキャストをくせ者揃いの脇役が盛り立てます。このキャストが意外に豪華。温水洋一にBOBAに寺島進、谷原章介などけっこうな笑いどころを担当しています。

日本映画としては珍しく、生活感やリアルさのない映像で、まるでプラスチックでパッケージされたかのような嘘っぽい映像が全編を貫いています。学校の描写もまるでアメリカのハイスクールのようなセットで、かなり大胆な世界観になっています。そのためオーバーアクトや、CGを駆使したギャグも違和感無く受け入れられます。私は舐めて観ていたら結構笑わされてしまいました。特にムツゴロウさんのところでは爆笑しました。こういう笑いが成功しているのも日本映画として珍しいと思います。

ただしストーリーは前半の1時間くらいがキモというか、興味深いものであったのに対して、谷原さんが出てきてからは、それなりに面白いものの、やっぱり展開が読めてしまい、単調になってしまったような気がします。とは言うものの充分観ていて楽しいことに違いはありません。

始まって10分くらいはけっこうコッパズカしい空気感があるものの、そこを過ぎたらかなり楽しめる娯楽作品になっていますので、大人の男性の方も敬遠なさらずに観て欲しいなと思わされる作品です。

硫黄島からの手紙

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渡辺謙 (2007/04/20)
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先日ようやく「硫黄島からの手紙」を観てきました。私の悪いくせでその前の作品は観ていません。つまり「父親たちの星条旗」は未見です。それでも何かこっちは観たかったので観てきました。「父親たち〜」の方もいずれ観るとは思いますが。

一言で言うならば、戦争の虚しさを淡々と描いたイーストウッドらしい作品という印象です。日本人役者がびっくりするくらいいい演技をしています。これを外国人の監督に撮られてしまったというのは嬉しい反面非常に悔しい気もします。現場にはまあ日本語の分かる人がいたのでしょうが、それにしてもイーストウッドの力量は凄まじいものがあります。セリフは一部説明的で不自然なところもありますが、充分許容範囲、というか現在の邦画に比べたら全然マシです。

ただし私の好きな映画かと問われると、そこまでは言えない感じです。この映画は素晴しいと思いますし、今作られたことに意義も感じます。歴史的な価値も大きいし、何よりイーストウッドの渾身の思いは伝わってきます。でも私は「許されざる者」とか「ミリオンダラー・ベイビー」の方が好きだったりします。これは個人の趣味だからしょうがないことでしょう。

何がひっかかるのかと言うと、史実に基づいているから仕方の無いことですが、ストーリーにドラマティックな起伏がないことが物足りないのです。いや意図的なことは分かります。そうして実際の戦争を描くのがこの映画の意図なのでしょう。実際の戦争は映画のようにクライマックスに派手な見せ場があって決着したりはしません。この映画はドキュメンタリータッチの演出というだけでなく、ドキュメンタリータッチの脚本なのです。

そうなんです。今までのイーストウッドの映画は淡々とした演出ではあっても、脚本の筋立ては起伏があって、ちゃんとドラマツルギーに基づくカタルシスがありました。しかしこの映画ではストーリーという概念すら壊しています(おそらく意図的に)。実際にあったことを順序立てて描いているだけです。それが最後に感動となってわき上がってくるのかなと思いきや、なんだか手紙が発見されるくだりもイマイチ感動できませんでした。それまで押さえた演出をしているのに、なぜあそこで手紙をぶちまけて、ハイスピードにして、手紙を書いた者たちの声を入れるのか…、気持ちは分かるのですが、ちょっと私の趣味には合いませんでした。ここで泣けた人もいるかと思います。私は逆に最後までそういう演出はしてほしくなかったと思ってしまいました。

しかしこの映画では大戦当時の玉砕主義を批判的に描いていますが、これはアメリカ人が観たらどう思うのでしょうか気になります。日本人の私ですら、手榴弾で次々に自決するシーンは衝撃でした。逆にこれなどは日本人監督では絶対に撮れないシーンだなとも思いました。悲しいうんぬんではなく、ひたすら衝撃的なのです。とは言え実際はもっと悲惨なのだなということは思うのですが。

そしてもっと衝撃だったのは、それにも関わらず、私は自決をせずに生き残ろうとする二宮くんを、少なからず卑怯者と感じてしまったのです。戦時中の上官と同じ思いを持ってしまったのです。自決を潔しとする風潮が私の中にもあるのだなあと思うと、なんだかとってもイヤな気分になりました。それすらも意図したモノだというなら、イーストウッド恐るべしですが。

正月から観る映画ではないとは思いながらも、しかし必見の映画であることは間違いないと思います。これで娯楽的に面白かったらなあとも思うのですが、面白かったらこの映画の主張が台無しになるような気もしますので、これはこれでいいのかも知れません。
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