生まれてから今まで観てきた映画全部

タイトル通り、生まれてから今まで観てきた映画全部についての感想を述べたいと思います。

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ウルフガー

Author:ウルフガー
業界の末端に携わっている映画好きです。名前の由来は「ナイトホークス」より、ルトガー・ハウアー扮するテロリストから勝手に頂きました。

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ロボコップ

ロボコップ <新生アルティメット・エディション>ロボコップ <新生アルティメット・エディション>
(2007/08/25)
ピーター・ウェラー

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急に「ロボコップ」のことを書きたくなったので書きます。この映画、今では私の大のお気に入りなのですが、観る前は「こんなの絶対面白くないだろう」と思っていました。ロボコップの造型が嘘っぽいし、監督のバーホーベン?誰それ?みたいな感じでした。本当にごめんなさい。あと少しのところで観ないで済ませてしまうところでした。もしそうだったら私の人生は全く違うモノになっていたと思います。

それなのに観たのですから当時の私はいかに映画好きだったか分かります。これは近未来SFかと思っていたら、それが主たるテーマではありません。いや確かに近未来なのですが、ここで行われている犯罪や社会状況は今のアメリカを少しデフォルメした程度です。デフォルメと言いますか、カリカチュアといった感じでしょうか。警官がストしたり、随所に入るCMなどでブラックなネタが展開され、アメリカ社会の狂っている点を皮肉っていきます。バイオレンスアクションでありながら、全編を通してこの皮肉な視点は貫かれていて、時にはロボコップ自身すら、揶揄の対象に見えます。能天気なアメリカンヒーローものかと思いきやとんでもない映画です。

まず主人公マーフィーがぶち殺されるシーンで度肝を抜かれました。今でこそバーホーベン監督と言えば悪趣味とバイオレンスとブラックギャグの巨匠ですが、当時はそんな知識もありません。オランダ時代の作品も未見でした。そんな私に、マーフィー惨殺シーンは刺激が強すぎたと思います。強すぎて一瞬でこの映画が好きになりました。普通の映画だったらズドンと撃たれて終わりです。それで充分のはずです。しかしここでのマーフィーはまずショットガンで手のひらを木っ端みじんにされます(ここのクラレンスの「ニニニニニ…」が最高)。それから編集ではカットされましたが、腕自体も吹っ飛ばされ、体中に銃弾をぶち込まれます。しかし防弾効果のあるベストを着ているのか、マーフィーはなかなか死にません。そこでクラレンスが頭にトドメの一発をぶち込んでようやく死にます。相当にヒドい仕打ちです。

ここで画面がブラックアウトし、マーフィーはロボコップに生まれ変わります。ロボコップのデザインは第一印象からマンガっぽくて嫌だったのですが、こうして一企業の試作品という設定だと分かると逆にリアルに見えてくるのです。ああ、これでお披露目しようと張り切ってこういうデザインにするよな、企業って。という背景が伝わって来るのです。

ロボコップに生まれ変わってからの活躍シーンとか面白すぎます。もうここまで来ると完全に映画のとりこになっています。この映画を見続けていたい、永遠にこの映画が終わらないでほしいと思いました。ただこの映画の素晴しさはこんなものではありません。この映画の素晴しさはロボの活躍を描くだけではなく、主人公マーフィーが自我を取り戻していくドラマでもあるのです。そして自我を取り戻しても自分はロボであり、人間に戻ることはできないという悲しみを背負ったヒーローのドラマであるのです。

面白いのはこの映画では正義とか悪とかについては語られていません。犯罪と、企業論理と、職務といったポリスものにつきものの言葉で話が進んでいきます。これはヒーローものではなく、あくまでも刑事ものなのです。「ロボコップ」に課せられた制御装置も「良心回路」などではなく、あくまで「企業の役員に逆らうな」という生々しいものです。そこがリアルであり、逆に主人公の悲哀が引き立つというものです。ロボコップは正義のために造られたのではなく、ただ単に効率的だから、ということでロボ警官が商品として開発されただけなのです。だからマーフィーの哀しみと怒りは犯人をぶち殺しても治まることはないのです。

ラストでクビになった役員を撃ち殺すというアイデアも痛快ですが、「いい腕だな、名前は?」「マーフィー」という鳥肌もののやり取りをした社長が2では悪役となって登場してしまうのは少し残念でした。アメコミが元でなく、映画オリジナルのヒーローとして貴重な存在だっただけに、シリーズ化にはもうちょっと気を使ってほしかったなと思います。

ポセイドン

ポセイドンポセイドン
(2008/04/11)
カート・ラッセルジョシュ・ルーカス

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「ポセイドン」です。リメイクした方の映画です。ウォルフガング・ペーターゼン監督は大好きな監督の一人です。こないだの「トロイ」も実に見ごたえのあるいい映画でした。そんなペーターゼン監督が「ポセイドン・アドベンチャー」をリメイクするのですから、期待しないはずがありません。予告を観てももの凄い波が来たりして、こりゃ「パーフェクト・ストーム」超えてるぞ! と観る前からかなり盛り上がってしまいました。だからでしょうか、ちょっと期待はずれという感想を持ってしまいました。

そもそも上映時間が90分前後だと知ったときにいやな予感がしたのです。あの大作を一時間半に納められるわけがない。いったいどうなっているのか。しかし「ジュラシックパーク3」のように90分くらいで傑作の映画もあります。そう気をとり直してとりあえず劇場で観てみたのですが、ただ単にドラマをほとんど削っただけでした…。

CGによる見せ場の数々は確かに見ごたえがありますが、わざとやっているのかと思うくらい登場人物の絡みがありません。主要登場人物をあらかた紹介し終えたら、もう大波が来て船が転覆してしまいます。展開が早すぎです。それぞれのキャラクターに一応伏線とか引いてあるっぽい前半に対して、後半はそれを回収するそぶりさえありません。人が死ぬシーンも、まるでドラマがなく、たまたま死ぬだけです。そして次の見せ場へと生き残った人達が向かいます。ただし見せ場の迫力は凄いです。ノンストップで盛り上がりっぱなしです。

これは映画というよりもどちらかと言うと遊園地のアトラクションに近いと思います。そもそも主人公が何者か分かりません。なぜか一番キャラが薄いのです。カート・ラッセルはさすがに意地でいいところを見せます。この映画の中では一番おいしい役ではないでしょうか。それと生き残る人が多すぎです。もっと死んで欲しかった。それに対して、最初のパーティー会場に残っていた人達が簡単に死にすぎです。どうも命の重さのバランスに、観ていて納得がいきません。しょせん娯楽映画ではないか、と言われるかもしれませんが、パニック映画はそういうところに気を使ってほしいものです。エレベーターのシーンで船員を犠牲にしてしまったドレイファスの自責の念もどこかへ行ってしまいます。何か脚本的に重大な間違いを犯しているか、編集で大改造したのではないかと思ってしまいます。

昔の「ポセイドン・アドベンチャー」に比べるとスピード感や、CGの技術によって、より多くのビジュアル的な見せ場は増えたのですが、天地が逆さまになったことによる面白さはなぜか昔の作品の方がありました。今作は途中から船が逆さまになっていることすら忘れてしまっていました。なんだか非常にもったいない結果に終わった映画だと思います。それでも大方のハリウッド映画と同様、観ている間は退屈しないのですが…。

ミクロの決死圏

ミクロの決死圏 (ベストヒット・セレクション)ミクロの決死圏 (ベストヒット・セレクション)
(2007/10/24)
スティーブン・ボイド

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またまた古い映画で申し訳ありません。30代前後の人なら必ず何度もテレビで観ているはずの「ミクロの決死圏」です。この映画まず邦題が素晴らしいです。原題は「Fantastic Voyage」という何とも平凡なもの。それを「ミクロ」の「決死圏」という何とも血湧き肉踊るタイトルに変換せしめた当時の宣伝担当の人にまず乾杯を捧げたいと思います。またしても懐古主義に陥ってしまいますが、昔の映画はいい邦題がいっぱいありました。今は直訳か、原題をそのままカタカナにするだけ、芸がないこと甚だしいです。ただ今はオリジナルで邦題をつけても不評か、そういうセンスがある人がいないのかも知れません。ここには書きませんが、近日公開されるホラー「The Cave」の邦題などヒドいものです。

話がそれました。

誰でも知ってるでしょうが一応あらすじを紹介しますと、亡命した科学者が敵国のスパイに襲われ、脳内出血の重体になります。それを治療するには、科学者自身の研究による人体&医療機器縮小計画によりミクロ化し、体内に入り込むしかないことになります。ただしまだ研究は完成されておらず、ミクロ化できるのは60分だけなのです。こうして人類初の制限時間付き体内アドベンチャーが開始されます。いやー、ところどころ強引ですが素晴らしいプロットです。面白くならないはずがありません。これを稀代の職人監督リチャード・フライシャーが手堅く演出していきます。耳の近くを通るときに、音を立てないようにするサスペンスや、中途で実はこの中にスパイがいる、と分かったときのハラハラ感は見事です。ただの物珍しいだけの映画に終わっていません。

幻想的な体内の美術や(どうもダリが担当したという話は都市伝説らしい)、役者たちの見事な演技も絶讃に値するのですが、この映画で一番評価すべきはやはりラクエル・ウェルチでしょう。ラクエル・ウェルチと言えば、数々のセクシーな映画で肢体をさらしてきた言わば肉体派女優ですが、実は彼女の魅力が一番出ているのはこの映画です。ピッチリとしたウェットスーツみたいなのを着ていて、体の線ははっきりと分かり、これ見よがしな映画よりよほど挑発的です。極めつけはウィルスと間違われ、体内の抗体に襲われるシーンです。艇内に引き上げられ、体中にこびりついた抗体をむさくるしい男ども(これポイント)によってたかって剥がされるくだりなど、まだ幼い私にもどこかいかがわしさを感じさせる名場面となっていました。これがやりたいために彼女をキャスティングしたのね、と勘ぐってしまいます。

物語はスパイうんぬん問題を軽くクリアして、治療に成功。果たしてどこから脱出するかという難問を、またしてもナイスアイデアで解決。この辺りの展開はSF的でいいですね。ラストの治療班が元に戻る描写も、味気ない撮り方が逆にリアルに見えて驚きです。

後年「インナースペース」というジョー・ダンテ監督のコメディ映画がありましたが、これはこれで詰め込みすぎ具合が楽しい映画でしたが、なぜこうも体内の描写がつまらないのかな、とガッカリした思いがありました。これに懲りたのか(私の知る限りでは)体内を舞台にした映画は他にないようです。もっとこのジャンルが発達して「ミクロ・マトリックス」とか「ミクロ・ゴースト」とか作られてほしいんですけどねえ…。
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