アンダルシアの犬
![]() | アンダルシアの犬 (2008/03/07) ピエール・バチェフ、シモーヌ・マルイユ 他 商品詳細を見る |
これももの凄く古い映画ですが「アンダルシアの犬」です。古いのに今もソフト化されて見られるだけあって、これは凄い映画です。15分しかないのですが、密度の濃い映像が展開されます。大学生くらいの頃でしょうか、何かで紹介されていて、ビデオで観ました。サルバドール・ダリとルイス・ブニュエルですから、さぞかしわけの分からない映画だろうなとは思いましたが、わけが分からないけど凄い。そんな映画でした。
そもそも訳がわからないのはわざとです。だからそんなのはあえて言うことではありません。次々展開される映像のインパクトに、こちらとしては考えずに、感じていけばいいのです。まずは有名な美女の目をカミソリで切るシーンです。これを見たとき、あっ筒井康隆だ、と思いました。筒井さんの「傷ついたのは誰の心」という小説にも漫画にもなっているお話で、同じことをしているのです。もちろんこの映画にオマージュを捧げているシーンです。こういう順番で物を見ていくのはある意味悲劇なのですが、私は何かの元ネタを昔の作品に発見することは、それなりに楽しいので気にしません。
とにかく脈絡もなく、シュールな映像が次から次へと流れて行きます。シュールというともう今では手垢のついた言葉になってしまいましたが、これはシュールレアリスムの元祖とも言うべき作品で、今のシュールがカルピスなら、この映画は水で薄める前の原液かと思えるほど濃密です。映像派の監督や、シュールな作品を作る人の全ての原点がここにあります。ストーリーはないのですが、勝手に脳内でストーリーが出来てしまうほど、観客の想像力を刺激します。切断される目、ピアノにくくりつけられた馬、胸を揉み続ける男、わけが分かりませんが、凄いテンションに目が離せません。そして凡庸なイメージが一つとしてありません。これは作品の作られた年を考えると驚異的なことです。今観てもそうなのですから、当時の人には本当に衝撃的だったと思います。ラスト、人型の砂が風に吹かれて崩れて行くところでは(「アルタード・ステーツ」にも引用されていました)、わけの分からない感動まで覚えます。イメージの羅列ではあるのですが、ドラマを感じることができるのです。
どのようにも解釈出来る、このような映画についてあまり細かいことを書くのも怖いので、この辺にしておきますが、何度も見返して、新しい発見ができる映画だと思います。また近いうちに見てみたいと思います。




