海外特派員
![]() | 海外特派員 (2006/12/14) アルフレッド・ヒッチコックジョエル・マクリー 商品詳細を見る |
今回はアルフレッド・ヒッチコックの傑作「海外特派員」の感想を書きたいと思います。これは確か衛星放送でやっていたのを録画して、しばらく見ずにおいて、何かの雑誌で素晴らしいという話を聞いて、やっとこさ観たという感じでした。感想は…、とにかく素晴らしい映画でした。
しかしお話はあまりよく覚えていません。例によって主人公が何かの陰謀に巻き込まれて、逃げつつも真相を追い、最後にはそいつらを振り切ってめでたし、みたいないつもの感じのヒッチコックのスパイものでした。
それにしてもそんな幼い頃に観たわけでもないのに、こんなにも物語の細部を覚えていないというのはどういうことでしょう。一つ一つのシーンやその映像は覚えているのです。例えば雨の日に殺しがあって、殺人者が傘の並んだ中を逃げて行くのを俯瞰で撮るシーンとか、待ち合わせ場所の風車。その中でスーツを巻き込まれてしまうサスペンス。また屋上から落とされそうになって次の瞬間めちゃくちゃ引いたカメラアングルになって人が落ちて行くのを小さく見せる、とかそういう細部だけは覚えています。そして映画を見ていてとてつもなく面白かったことも覚えています。
特に印象深いのは、敵の黒幕に娘をあずかったから真相を書け(みたいなこと)を言って、紙に書かせると同時に部屋に娘が入って来て、してやったりとばかりに主人公がその紙を持って立ち去るが、そこには「今娘が帰って来た音がした」と書かれている、というシーンや…、あああああダメだ…。私の説明が下手なのか、文章では全く伝わりませんねこの凄さが…。まあいいや。そんなわけで細部は覚えているのです。さらにあまりにも有名な飛行機の墜落シーンや、その後の海に漂う波の凄さとか、そういうのは覚えているのです。でも話は結局どうなったか覚えていません。
ひょっとしてこれこそが、ヒッチコックの言うマクガフィンということなのか? と思い至った映画でもあります。ストーリーをひっぱる何かを用意しさえすれば、その何かというのは何でもいい、というアレですね。そういう意味でも技巧的には頂点と言ってもいいこの映画ですが、最近ではこれもあまり観られなくなってきたのでしょうか。ぜひとも若い人にも観て頂きたい名作であります。



