生まれてから今まで観てきた映画全部

タイトル通り、生まれてから今まで観てきた映画全部についての感想を述べたいと思います。

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ウルフガー

Author:ウルフガー
業界の末端に携わっている映画好きです。名前の由来は「ナイトホークス」より、ルトガー・ハウアー扮するテロリストから勝手に頂きました。

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嫌われ松子の一生

嫌われ松子の一生 通常版嫌われ松子の一生 通常版
(2006/11/17)
中谷美紀瑛太

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新作の「パコと魔法の絵本」も公開中の中島哲也監督の「嫌われ松子の一生」です。先日はその新作の方を観に行こうと思ったのですが、それがかなわなかったので、その腹いせにこちらの感想を今日は書きたいと思います。

非常にカラフルであの手この手で楽しませてくれる映画です。映像の面白さだけでなく、キャスティングの妙と言いますか、豪華な役者さんたちがまたいい芝居をしてくれます。けっこう大胆なギャグ演技も多いのですが、コントっぽいというか安っぽい感じは意外なくらいしていません。私はこの映画のノリは好きで、結構楽しませていただきました。

しかし私が楽しんだのは手法やその語り口にであって、ストーリーというかドラマではないのですね。その辺りがちょっと後ろめたかったりします。例えば松子がどんどん堕落していってしまいには殺されてしまうという内容に、何も感じなかったりしています。思うにキャラクターに共感というものを一切しなかったからかも知れません。いくらこの映画を楽しんだと言ってもこれは多分作り手の意図に反してしまっているような気がします。

このような湿っぽい内容を派手な映像で描写するというのはもちろん狙ってやっていることなのでしょうが、そのミスマッチ感でどのような効果を狙っているのか、また私以外の人がどう受け止めたのかということは私にはまるで分かりません。ただ私は一つ一つのギャグや映像は面白かったですし、この監督さんは才能あるなあと思ったのですが、笑っているうちにしみじみ感動するという域にまではたどり着けませんでした。

でもそんなのはどうでもいいのかも知れません。私のお気に入りは松子が光GENJIの内海くんのファンになってしまうところで、それまでのモノローグとかが、彼宛てのファンレターの文章だと気付いたときは本当に爆笑してしまいました。もうそれだけで観て良かったという感じなのです。もしこれ以上のことをこの映画から得ようと思うのならまた齢を重ねないといけないのかも知れません。

あと余計なお世話かも知れませんが、刑務所のくだりのまるでミュージックビデオみたいな編集、あるいは他にも今風の映像がたくさんありますが、こういうのって確かに今見るとカッコいいのですが、映画って多分こういうところからダサくなっていくんだろうなあとぼんやり思いました。細部から腐敗すると言いますか、10年後見たらかなりカッコ悪くなっているんじゃないかなあと人ごとながら心配になってしまいました。なんか今回どうでもいいことばかり書いてしまいましたね。でも好きですよこの映画は。

崖の上のポニョ

「ポーニョポーニョポニョ魚の子〜」という歌がこの一週間くらい頭の中にこびりついて離れないので早速観に行ってきました「崖の上のポニョ」です。説明するまでもないと思いますが宮崎駿監督の最新作で、魚の子のポニョと人間の男の子の純愛ラブストーリーを描いた作品で、「ハウルの動く城」を観ていない私にとっては「千と千尋の神隠し」以来の宮崎アニメでした。

いやあ楽しかったですねえ。もう夏休みですし、日曜日でもありましたので、劇場は家族連れで賑わってまして、久しぶりに満員の映画館でワイワイしながら映画を観るという経験ができました。

それで映画ですが、冒頭から手描きの感じをかなり意識した柔らかい絵柄で一気に作品世界に浸ることができます。ほとんど台詞がなく、ポニョがなんか研究者のところから脱出するくだりから始まります。まあ実は親父だと後で分かるのですが。

外の海に出てクラゲに乗って海面まで出ますが、漁の網に捕まりそうになったりなんやかんやしているうちにビンにハマって岸に漂着します。それを見つけたのが崖の上の家に住む宗介という男の子でした。もうここまででかなり面白いです。動きが凄いのは当然ですが(いや当然で済ませちゃダメなんですけどね)、網に捕まりそうなところのサスペンスや、そうかと思うとユーモラスな動きも飛び出して、ああアニメってこういうもんだよなあ、と大げさにもちょっと感動してしまいました。

あの風貌のポニョを見て宗介がいきなり「あ、金魚だ」と言うので度肝を抜かれますが、この世界の人間には普通に金魚に見えるようです。しかしおばあちゃんの一人は人面魚だと言ったりしてよく分かりません。あまり深く考えてはいけないのでしょう。

物語が地上に上がると、絵柄がまたちょっと変わります。背景なんか色鉛筆で塗ったかのようです。その中を自在にキャラクターが動き回るのはちょっと観ていて不思議な感じがします。手描きっぽいんですけど、恐らく随所にデジタルな技術を使っているんでしょうね。よく分からないのでちょっと言及は避けておきますが。

お話は陸に上がったポニョをお父さんが追いかけてきて連れ戻し、またポニョが逃げようとして、お父さんが研究していた「生命のスープ」とでも言えばいいのでしょうか、原始の海のエキスのようなものを間違って流出させてしまい、大騒ぎになってしまうという感じです。ポニョ自身もそのエキスの影響で魔力を持ってしまい、人間に変身します。さて宗介と出会えるか、みたいな盛り上がりを見せておいて、あっさり出会ってしまい、魚のポニョだとすぐに分かってもらえます。その辺は映画の半分くらいでうまくいってしまいます。

「千と千尋の神隠し」の時も思ったのですが、宮崎さんの脚本は本当に掟破りと言うか、脚本のセオリーから言ったらやってはいけないことばかりやっていて、他の人がこんな脚本で映画を撮ったらとてもじゃないけど成立しないんですが、なぜか宮崎監督作品だと気にならないので不思議です。

意図的にやっているのかも知れませんが、この映画もアンチクライマックスと言うか、中盤のポニョが津波とともに戻ってくるところが一番の盛り上がりで、後半はむしろ淡々としています(つまらないというわけではありません)。

一応二人のラブストーリーになっているのですが、二人の仲を裂くような障害があからさまに用意されているわけではありません。町が水没して大騒ぎにはなっているのですが、何か町の人もそう深刻に苦しんだりはしないのです。それで(ああネタバレしますね)最後にポニョが人間になることを選択したら、天変地異が全部解決したりします。ポニョが魔力を捨てるからという理屈なんでしょうが、途中まで一体何が問題だったのか分からなくなるくらい煙に卷かれた感じがします。普通だったらここで「どういうことだよ!」といちゃもんの一つも言いたくなるのですが、面白かったのでまあいいか、と思ってしまいました。今思うと「千と千尋の神隠し」の時もそうでした。

一部に主観的な演出を取り入れていて、ずっと宗介とポニョの動きばかりを追っていて、その裏で何が起こっているのか分からないシーンが多くあります。場面転換が極端に少ないのです。知らないうちにある人たちとある人たちが出会っていて、話がついたりしています。そういうところも、本当ならもっと見せるべきだろ、と普段の私なら言うのですが、まあ別にいいかという感じでした。映画って不思議ですね。

他にも理由や設定を説明していないところが多くあるのですが、まあその辺もいろいろ解釈できるようにしているのかなと思います。さすがにトンネルのところとかは他と違ったトーンで演出していますので、象徴的に言いたいことを表しているのでしょうが、そういう考察もやってもいいのですけど、それで面白くなるかというとそうでもなさそうなのでやめておきます。まああれは大人になることへの不安とか、人と対立することへの逡巡や、性への目覚めの恐怖とか、そういうことを表しているのかな、と漠然と思っていればいいかと。もしもっと大事なことであったなら宮崎さんゴメンなさい。

全く書けなかったのですが、宗介のお母さんやおばあちゃんたちのキャラも素晴らしく、イヤな人間が一人も出てきません。お父さんも登場するのですが、ストーリーに全く絡めず終わってしまうのもシャレが効いています。終わり方も最高ですし、非常に面白い映画でした。子供だけに見せておくのは勿体ない映画だと思います。あとエンドクレジットも例の歌がワンフレーズ流れただけでサッと終了するので、最近のエンドロールのやたら長い映画は見習って欲しいものだと思います。

口裂け女

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佐藤江梨子.加藤晴彦.入江紗綾.水野美紀 (2007/07/20)
角川エンタテインメント
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本日はDVDで観た「口裂け女」について書きたいと思います。なんでこれを見たかというと、以前「ノロイ」の感想を書いたと思うのですが、あの何とも言いようのない不可思議なホラーを撮ったのと同じ監督さんの新作だったのです。前作はバレバレのフェイクドキュメンタリーの態を装い、ニヤニヤ笑いを誘いながらも、後半は怒濤の展開で本当の恐怖を味合わせてくれる傑作だったと(私は)思っています。そんな監督さんの新作ですから、期待は高まります。しかし不安が無いわけではありません。今回はオーソドックスな劇映画なのです。前回のような飛び道具は使えません。演出力や構成力といった監督としての実力が問われるのですが・・・。

結論から書きますと、これはどうにもこうにも失敗作としか言いようがありませんでした。残念なことに「ノロイ」は偶然の産物か、私があまりに積極的に楽しもうとしたために作り手の意図した以上の面白さを感じただけのようでした。

とにかく脚本、脇役の芝居、演出、テンポ、全てにいたるまで、「ダメな邦画」の典型になってしまっています。「ダメな邦画」の典型というのは、時間がないのでカットを割らずに突っ立ったまま延々と会話をさせたり、棒読みのセリフを言わせたり、そのセリフ自体意味不明だったり、そうでなくとも思いっきり説明台詞で不自然だったり、独りよがりで本当に分かりにくいところが説明不足だったり、アクションシーンにまるで緊迫感がなかったり、ホラーなのに全く恐くなかったり、カット割りが映画のセオリーを全く無視してつながっていなかったり、美術や特殊メイクがチープで全くそれらしく見えなかったり、そんな映画のことです。「口裂け女」にはこれらのほとんどが当てはまってしまっています。

そんなわけでこれは駄作です、おわり、と書きたいところですが、それでは以前書いた「水霊 ミズチ」みたいな最低映画なのかというと、それとはまた趣きが違っています。あまりにダメすぎて、突っ込みながら楽しめてしまうのです。これもまた意図とは違ったところで楽しんでしまっているのですが、「水霊 ミズチ」のように、それすらも出来ない作品もあるわけですから、これはこれでいいのではないかと思えてしまいます。

例えば主人公らしいのですが、ちっとも主人公らしくない佐藤江梨子さんの芝居が変なのです。彼女は小学校の教師で、生徒達が口裂け女に襲われるのを何とか阻止しようというのですが、虐待されている子の相談を受けているうちに、何故かキレていきなりドスの効いた声で怒鳴る瞬間などは噴き出してしまいます。彼女自身、かつて子供に手を上げてしまい、虐待については思うところのある役どころなのですが、どうも演技が違うだろとしか言いようがないのです。こればかりは観ていただくしかないのですが。

他にもストーリー上や演出上に突っ込みどころが満載で、そういう意味では退屈することなく観られます。そういうモードで観るなら、レンタルだと料金分はちゃんと楽しめる映画と言えるでしょう。ただ、私はこの人は本当に恐い映画を撮れる人だと思っていたので、やはりがっかりしたというのが正直なところです。また口裂け女の役を水野美紀さんがやっているのですが、誰がやっても同じような役で、まるでいいところが無かったのも残念です。こういうのが好きなマニアの方はどうぞといった感じの映画でございます。
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