全く脈絡なく記事を書いてますのでせめて50音順のインデックスをつけてみました。
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本日はクエンティン・タランティーノ監督の新作「イングロリアス・バスターズ」を観てきました。なかなかに評判がよろしくて、かなり期待していたんですけど、内容についてはほとんど情報を仕入れてなかったものですから、いろいろ驚きました。もちろんいい意味での驚きです。
内容はまああまり細かいことは書けませんが、第二次大戦下のフランスを舞台に、ナチどもを殺しまくる「バスターズ」なる秘密部隊の活躍と、ナチスに家族を皆殺しにされて復讐を誓うショシャナという女映画館主の運命を、いつも通りキツいジョークとバイオレンスを混じえて描くというものです。年齢制限はありますが、本格エンターテインメントと言っていいでしょう。
意外なことにストーリーが面白いのです。と言っては失礼ですが、今までタランティーノさんてストーリーテリングで観客を喜ばせようとは別に思ってなくて、しゃれた会話とか、突発的なバイオレンスとか、いろんなこだわりを持ってるキャラとか、音楽のセンスとか、過去の名作への目配せとか、そういったことで観客を喜ばせようとしている人だという印象があったのです。核となる物語は実に単純だったりします。しかしこの映画は、普通にストーリー展開が面白く、その次どうなるんだ、と興味をかき立てられ、2時間半があっという間に過ぎてしまった感じでした。本人も意識しているのか、今までの映画の中では一番オーソドックスなスタイルで演出しているのではないでしょうか。それでも随所に遊びはあるんですけどね。
開巻早々主人公の一人であるショシャナの家族皆殺しシーンが描かれるのですが、いつも通り何気ない会話からどんどん事態がヤバい雰囲気に変わっていく微妙なさじ加減の演出にうならされます。そしてブラッド・ピット率いるバスターズの登場です。ここら辺り、過去の戦争映画をいろいろ引用してそうですが、私などは逆にそういった名作をすでにパロディにしている「モンティ・パイソン」のコントとかを連想してしまいました。でも多分偶然だと思います。ナチとか軍隊をネタにいろいろふざけようとしたらどうしてもかぶってしまうところがあるんでしょう。もうこの辺りでこの映画のトーンがはっきり示されるので楽しみ方も分かってきます。相手がナチだったら何やってもいい、みたいな無責任なノリでとんでもない虐殺行為が繰り広げられて行きます。
これらが皮肉なのか、何も考えてないギャグなのかちょっと観ただけでは分からないところがタランティーノさんの非凡なところだといつも思います。風刺とかが前面に出過ぎたらちょっとあざとくなってしまうんですが、全体的にいい感じでナンセンスで、変に理屈に走ったりしていません。でも深読みしようとしたらいくらでも出来るように作られています。
脚本も面白く、役者さんも素晴らしく(特にユダヤ・ハンターの人が最高)、いつも通りスリリングな演出も心地いいのですが、ここで多くの人の反発を招くようなことを書いてしまうと、ちょっとブラッド・ピットだけが、なんだか浮いているような気がしてなりませんでした。彼の演技に問題があるわけではないのですが、何と言うか、彼だけこのストーリーの中で安全地帯にいるような、そういう別次元にいるような違和感を覚えてしまったのです。これも何かの狙いなんでしょうか。あるいは私がブラピという役者を意識しすぎているだけなんでしょうか。ちょっと気になりました。
公開したばかりなのであまり詳しくはネタバレしませんが、私がこの映画で語りたいのはクライマックスについてなので何とももどかしいです。とにかく凄いです。そんなに長い見せ場というわけではないんですが、凄まじい大破壊&殺戮に久しぶりに興奮しました。こんなにカタルシスがあっていいのか、というぐらいの爽快感に満ちています。そしてとんでもないことが起こってしまいます。私はそんなことになるとは思ってもいなかったので、ビックリしてしまいました。これから観る人にもビックリして欲しいので何が起こるかは書きません。でも宣伝とかでネタバレされてないでしょうね…、まさか…ね。
しかしそのように爽快感を覚えてしまう自分の倫理観を試されているような感じもして、本当に一筋縄ではいかない映画だと思います。本当のことを言うと、このようなストーリーであれば、もっとベタな演出で映画化すればもっと万人受けするものになるのでしょうが、そうはしたくない、というようなタランティーノ監督の美意識が伺えるような気がして、そういう意味では昔からのファンの方も満足できるんじゃないでしょうか。
一ヶ月くらい後に、クライマックスも含めてまたいろいろ書いてみたいと思わせる映画でした。と言うかあと3回くらいは観たいですね。別にいろんな小ネタを発見したいということでなく、ただ楽しむだけのために。
またしても懐かしいというか、ほとんど誰も観てないような映画のことを書きますが、これ月曜ロードショーで30年くらい前にやった「マッシュ・イタリアーノ/全員集合!」というコメディ映画なんですが、実はそんなに鮮明に覚えているわけではないのです。と言うか、長いことタイトルが分からずにいたのですが、最近オールシネマオンラインで調べてこういうタイトルだと知りました。と言っても本当に確認できたわけではないのでちょっとあやふやですが。
「マッシュ・イタリアーノ」と言ってるだけあって、これはイタリアの戦争喜劇で、当時「M★A★S★H マッシュ」という戦争を風刺したアメリカ映画が話題になっていたのですが、それにあやかったような邦題にされてしまいました。原題は確か全く関係なかったはずです。
しかし内容は風刺コメディとかではなく、全編ナンセンスなドタバタだったと記憶しています。もう本当にコントの連続と言った感じで、一本筋の通ったストーリーがあったかどうかも定かではありません。私が覚えているのは、上官にワインを届けに様々な難関をくぐり抜けるエピソードとか、ガラスを運ぶエピソードとか、そんなのです。戦争をやっているというよりイタリアの軍隊内部での馬鹿な日常を描いているという感じでしょうか。私が気に入っているギャグは前述のワイン運びのミッションで、ようやく目的地に着いたと思ったら、誰かに時間を聞かれて、腕時計を見ようとして持っていたコップを傾けてワインを全部ぶちまけてしまうというもので(似たようなギャグがフランス映画の「大頭脳」にもありましたが)、その後でどう取りつくろうかは下品なのでここには書きませんが、そういった軽いギャグで全編構成されていたはずです。今ネットでこの映画の情報を得ようとしてもなかなか詳しいところがないですね。もちろんDVDも何も出ていません。
確かに全部観たはずなんですが、あとは言葉で描写できないくらい断片的な映像しか印象にないので、本当に大した映画じゃないんですけど、今急に思い出したので発作的に書いてみました。しかしこのブログ本当に月曜ロードショーで観た映画のことが多いですね。いかにあの番組を観ていたか、またあの番組でしか観られない映画があったかということで、いい番組だったなあとしみじみ思います。
久しぶりに映画を観てきました。サム・ライミ監督の新作「スペル」でございます。これ三日くらい前にCMで見てその存在を知った映画なのですが、ライミ監督がまたホラーに戻ってきてくれたので嬉しくて、ろくに予備知識も無いまま劇場に行ってしまいました。何やら婆さんに因縁をつけられ、呪われるというお話だということくらいしか知りませんでした。そのせいか冒頭はちょっととまどってしまいました。
と言うのもこの映画、オープニングからあまりにホラーとしてステレオタイプな描写の連続なのです。さすがにライミさんの演出はそつがないのですが、ありがちすぎる描写の連続に、これは真面目にやっているのか? それともギャグなのか? ちょっと判断しかねる感じなのです。ライミさんと言えば、本当に恐い映画も撮れますし、コメディも撮れますし、コメディホラーも撮れますし、また「ギフト」のようなシリアスなサスペンスも撮れる人ですから、この映画はどういうつもりで撮っているのかちょっと掴めないところはありました。
まあオープニングを終えて、主人公の女性が登場します。銀行で融資の審査とかやってる人で、そこにお婆さんがやってきて家の差し押さえをちょっと待って欲しいと頼みにきます。彼女は(クリスティーンという名ですが)、ちょうど昇進できるかどうかの瀬戸際なので、情にほだされそうになるところを厳しく突っぱねます。それで逆恨みされてお婆さんに呪われるという流れなのです。真面目なサスペンスから超常現象が絡んでくるホラーとして作ることもできます。
しかし! そう思っていると、クリスティーンの車に婆さんが忍び込んできてからの最初のバトルで、ちょっと度肝を抜かれてしまいました。なんでこんなに取っ組み合いまがいのアクションが展開されるのか、と突っ込みたくなるくらい即物的な戦いなのです。ホラーとかサスペンスのノリじゃあありません。ここらあたりで「ああ、これはギャグだったんだ」とようやく気付きました。お婆さんの顔がアップになってドーン! と音楽が鳴るたびに私は漫☆画太郎の漫画を連想してしまいました。これ撮影がビル・ポープだったり音楽がダニー・エルフマンだったりすると、始まった瞬間からギャグだと分かるのですが、妙に真面目でオーソドックスな撮り方&音楽なので、このシーンに至るまで気付けなかったというのもあります。
そこから先はもう本当にアホらしいホラーコメディとして楽しむことができました。そうと分かると仰々しい音楽や、妙に真面目な演技が全部アホらしく見えてきます。ストーリー展開もほとんどナンセンスと言っていいくらいどうでもいい感じです。その場その場のこけおどし演出に、手を叩いて喜んでいればいい映画なのです。
そうやって笑って楽しんでいると中盤辺りからやっぱり少しずつ恐くなっていくので、本当にライミさんはさすがです。まあ細かいことを書くのは避けますが、主人公の行動がちょっとずつ恐くなってくるのですね。こういうところをもっと掘り下げたら、やっぱりサイコサスペンスとして傑作になるのでしょうが、その場だけのブラックな味付けと結末のためのお膳立てのためにしかやらないところがぜいたくな感じがします。意味分からないと思いますが、さすがにこの結末はネタバレできないのでご了承ください。
爆笑ポイントは他にもあって、やたらグロい描写や、クリスティーンの顔にいろいろなものがぶっかけられる悪趣味さ、クライマックスの儀式で連れてこられるヤギの表情や、もう本当にいろいろ適当すぎて、もしここまで真面目に見ている人がいたら怒り出すんじゃないだろうかという映画です。後半に向けて尻上がりに面白くなっていくので、冒頭だけ見て観るのやめちゃう人がいるんじゃないだろうかと心配になる映画でもあります。
しかしまあライミさんの演出力でカバーはしているのですが、ストーリー自体は例えばトワイライトゾーンの一編でもいいんじゃないかと思わせるような掌編ですので、そこまで見応えを求めると拍子抜けするかもしれません。肩の力を抜いてお楽しみください。